松隠軒にて香道体験。あふれる情報・麻痺する五感

4〜5年ほど前の話。
名古屋は松隠軒にて、志野流の香道体験をする機会に恵まれました。

香道(こうどう)とは、香りを楽しむ芸術のこと。

室町時代から500年以上もの歴史を持つとされていますが、起源は茶道より古く奈良・飛鳥時代にまで遡るとか。

こちら「聞香(もんこう)」。

香りを「聞く」ための型で、香道では香りを「嗅ぐ」とは言わずに「聞く」と言うことを知りました。茶道でいう「お点前」のように決まった型があるのだそうな。

写真の御方、21世家元継承者の蜂谷宗苾さん。
「香道を多くの方に知ってほしい、写真もどんどんSNSにアップしてOK」とのアツい想いをお持ちでした。この日のすこし前には、フランスで香道の講座をされていそう(!)。

お手に持つは、「香炉」と呼ばれる小さな器。
火種の入った灰の上に置かれた数ミリの香木(こうぼく)から、自然に感謝しながら繊細な香りを楽しみます。

香炉の灰が現すは、陰陽五行の小宇宙。

高さ1mmの差異で違いが生じる香炉の灰。天気や湿度により日々変化する香りを最高の状態で楽しめるよう、お弟子さんは何度も何度も美しい香炉を形作れるよう修行を繰り返すといいます。

香道で使うのは、沈香(じんこう)とよばれる天然木「香木」です。

1000分の1本程の確率で偶然うまれる貴重な老木による香木は、かの徳川家康公もお好きだったとか(香木は数百年を経ても香りが変わらないようで、徳川美術館では当時家康公が聞いた香りを楽しめるイベントもあるとか!)

香りを聞くだけではなく、香りあてゲームや源氏物語に絡めた風流な遊びのバリエーションも。

その日きいたは香木2種類。
2つめの黄緑色、繊維のある和紙のような香りは印象的で

。。。

五感の中で最も原始的な感覚とも言われる嗅覚。
ある香りに昔の記憶を思い出すことがあるように、香りは本能を司る脳にダイレクトに伝わる器官とされています。

食べ物や危険な香りの察知は、生死に関わる部分だからこそ。
匂いで危険を感じ取っていたことがある反面、現代生活では最も使われていない感覚だとも言われています。

あふれる情報、麻痺する五感。
多すぎる情報は目からや耳からだけではなく、鼻からも同じように。

 

日々の暮らしで強い香りや人工的な香りを使わなくなって5年近く(洗剤石鹸芳香剤など)。

街でお店で、強すぎる香りに息をひそめることが増えました。(それ以前は気にならなかったのに!)。

強い刺激に慣れ切ると、小さな刺激がわからなくなる。
感覚の麻痺、それはそのまま生命力の低下に繋がる気がする、しかしある程度、感覚を麻痺させないと生きづらい社会な気もしてる。

日夜お稽古の繰り返されるされる、雨の上がった夜の松隠軒。

香木の自然な香りがほのかに漂い、日常とは少し離れた別世界感が素敵だったのでした。。。

和文化

Posted by madu